昨日、「1秒単位の考慮時間制」導入の最大のハードルが「音声読み上げの手法が確立されていないこと」であると述べました。

しかし、時間切れの10秒前から無理矢理数え上げれば良いのではないか? という疑問も浮上しましたので、少しパターンを整理してみました。(画像をクリックして拡大して下さい)

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一番左の①が、現在の通常の秒読みです。

それに対して②と③は、中途半端に「23秒」とか「3秒」だけ考慮時間が残っているとき。 (考慮時間突入後のタイマーを青字で区別しました)
う~~~ん・・・
結論として・・・やっぱり「無い」(笑)
いろいろ不自然すぎますね。

一方で、一番右の④が「ぴったり20秒」残っている場合です。
この場合は意外と悪くない。
つまり考慮時間の残りが10の倍数なら、いつもどおりに読めるということです。

ということは、考慮時間を10秒単位で払い出せば成り立つのではないか・・・?
  • 将棋倶楽部24の早指2の「1秒単位の考慮時間」は、読み上げが崩壊
  • テレビ対局方式の「1分単位の考慮時間」は少し長すぎて、60秒だと1回しか使えないので、皆様が求めている早指2のような刻める猶予にならない
      ↓
  • そこで間をとって「10秒単位 (合計6回) の考慮時間」なら、読み上げと早指2の良さを両立できるかも!
ちょっと光が見えてきた気がします。
昨日の今日で、結論がなんかフラフラしてますが、一度EARTHサーバ以外のサーバでテストプレイをやってみましょうかね?


前々回で取り上げた持ち時間のルールの今後について、続きです。
対局サイトごとに、様々なバリエーションの持ち時間のルールが採用されるようになってきました。そこで、それぞれのルールにおいて、1手で考えられる時間が実際にはどのように変わるのかについて、今回は比べてみます。

 [目次]
  • ① ノーマル
  • ② 考慮時間制
  • ③ ノーマル + 考慮時間制 ハイブリッド型
  • ④ フィッシャールール
  • ⑤ フィッシャールール + 秒読み ハイブリッド型 (※新提案)

① ノーマル (持ち時間 + 秒読み)

まずは81道場でも採用しているノーマルタイプ(持ち時間 + 秒読み)から。ここでは「5分+30秒」を例に見ていきます。

今回の分析の観点はこちらのグラフ。これは、
 ある一定のペースで指し進めてきた場合に、n手目の時点で、
 仮に全ての時間を使い切るとしたら最長でどれだけ長考できるか
という指標を縦軸にして、手数(n)ごとにプロットしたものです。仮に、
  • 1手平均10秒でサクサク指し進めた場合
  • 1手平均25秒でしっかり考えながら指し進めた場合
の2通りで比較しました。

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グラフの通り、このノーマルタイプはあまり合理的なルールではありません。なぜなら、基本的に終盤の大事な局面で長考する余地を残しにくいからです。せっかく持ち時間が有っても、序盤からの消費が無駄に蓄積されていくため、結局終盤まで持ち越せません。1手10秒ペースで早指ししても60手目以降の最終盤では秒読み突入ですし、1手25秒ペースだと中盤の局面ではもう秒読みになってしまいます。

② 考慮時間制

そこで、序盤・終盤に関係なく好きなタイミングでストックを消費できるという合理的な形にしたものが所謂「考慮時間制」です。これは、秒読みが切れたあとに、プールしてある持ち時間から削っていくもの。
これはテレビ対局でもお馴染みです。「1手30秒、ただし1分単位で合計10回の考慮時間があります」と言っているあれです。「1分単位」というのは1秒でも超えたら1分ずつ払い出されるという意味です。
そして、将棋倶楽部24の「早指2」も、実はこの考慮時間制の一種です。「1単位で合計60回の考慮時間があります」と等価になります。
(ちなみに早指2の1分は、当初は考慮時間を意図したものではなく、せっかくの良い将棋を操作のもたつき等で時間切れで終えてしまう例が多く勿体ないので、その救済のために設けた猶予時間という位置づけだったそうです)

では「持ち時間無し、初手から1手30秒、ただし考慮時間5分」という条件でグラフ化してみます。

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このように、1局を通じて常に一定の長考猶予をキープすることができ、とても合理的です。序中盤で長考するもよし、終盤で長考するもよし。平等な選択の余地があります。
(なお念のためですが、毎手で繰り返しこれだけの考慮ができるという意味ではありません。この最大時間を使えるのは1回だけです。どこかで1回使い切ったら以降はもちろん1手30秒ですので、誤解なきようお願いします)

さて、合理的ではあるものの、このルールには一つ問題があります。それは、序盤から1手10秒ペースだろうが25秒ペースだろうが秒読み以内ならば結果が変わらないという点。つまり、序盤などで出来るだけ早く指し進めるというインセンティブがないのです。ネット将棋なので序盤ぐらいはサクサクと指し進めたいところ。

③ 持ち時間 + 考慮時間 (ハイブリッド)

そこで、①と②をバランスさせたハイブリッド型が出てきます。テレビ対局でお馴染みなのはまさにこれ。
「持ち時間は10分。それを使い切ると1手30秒以内。ただし1分単位で合計10回の考慮時間。」というあれですね。

例えば、5分を「持ち時間3分」と「考慮時間2分」に配分するとこのようなグラフになります。

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終盤まで考慮時間を残しつつ、序盤で早く指すインセンティブもあり、両立しています。とはいえバランスの調整が難しく、ちょっと中途半端な感じもしますね。

④ フィッシャールール

ではチェスでおなじみ、将棋でも人気が出ているフィッシャールールはどうでしょうか。同様に持ち時間5分とし、1手5秒加算する場合を見てみます。

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これもとても優秀であることが分かります。1手10秒ペースならば、かなり終盤まで長考の余地を持たせることが出来ていますね。
ただ、大きな問題があります。序中盤でゆっくり指して持ち時間が枯渇すると、そこからは1手5秒で指さないといけません。(そもそも1手平均10秒・25秒という前提条件が満たせなくなっています)
これは結局、10秒将棋よりも短い「超早指し」です。1手5秒というのは、70手ほどの将棋の場合、「3分切れ負け」と同じペースになります。要するにこのルールは、終始早指しが基本思想になっていると分かります。となると、いま論点にしたい「好きな時にじっくり考えられるか?」の趣旨には合いません。

⑤ フィッシャー + 秒読み (ハイブリッド)

そこで今回の新提案がこのハイブリッド方式です。持ち時間をフィッシャールールで加算しつつも、それが切れたら そこから1手30秒の秒読みという合わせ技。

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早指しで進めれば終盤の長考余裕もしっかり確保できる一方、先に使い切っても1手30秒でしっかり指し続けられる。両方の良いとこ取りを試みました。
如何でしょうか。皆様の感想をお待ちしております。

■ 81道場への実装は?

さて現状、81道場としては②(特に1単位の考慮時間制)や④(フィッシャールールそのもの)は実装することが出来ないと考えています。理由はいくつかありますが、その一つが、81道場では「音声による秒の読み上げ」というものを大切な要素として捉えているためです。
皆様にとって耳に馴染んでいるであろう、

 「10秒~・・・20秒~、いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう」

と、10秒前から数を増やす方向で読み上げ、「じゅう」で時間切れとなる読み方。この慣習が②と④では崩れます。
「残り4秒で時間切れ」とかから新たにカウントが始まるシチュエーションが起こりうるためです。その時にどう読むのか。人の声で読み上げるなら「よん、さん、に、いち、ゼロ」で時間切れ、と途中から逆順で読むしかないでしょう。しかしそんな「読み上げ方法」は確立していないし81道場が勝手に作れません。

その点で、⑤のハイブリッドは簡単に実装が出来ます。持ち時間を1手ごとに増やせば良いだけで、あとは全て同じだからです。

また、フィッシャールールの趣旨とはズレますが、最初の持ち時間は少なめにしておいて1手ずつ持ち時間を増やすコンセプトは、序盤数手で放置されてしまった場合に待たされる被害時間を短くするという効果もあると感じており、そこにも注目しています。


今回は以上です。長文に目を通して頂き有難うございました。




81道場の駒画像選択の3番目にある「国際駒」が高解像度化されました。
盤面サイズを「大」や「特大」にした場合でも綺麗に表示されるようになりました。

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さて、この国際駒ですが、本物はこちらのサイトなどで見ることが出来ます。

 ねこまどSHOP (Yahoo!ショッピング) 国際将棋駒・桐箱入り
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せっかくですので、それぞれの駒のデザインに込められた意味などについて解説しておきたいと思います。

国際駒のデザイン方針として、チェスの絵柄を出来るだけ流用することにより、チェスプレーヤーがスムーズに将棋に馴染むことを狙っています。チェスと将棋で同じ動きをする駒は、チェスの絵をそのまま使うようにしています。しかし、将棋独特の要素をしっかり残すため、様々な細かいところに拘りを入れています。
では一つずつ見ていきましょう。

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左が王将、右が玉将です。王将はチェスのキングそのものですが、玉将は頭の飾りを宝石に変えています。王と玉が異なるという将棋の文化をしっかりと残すためです。玉は「宝玉」を意味しますので、宝石としました。

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左が角、右が飛車です。これらは、チェスのビショップおよびルークと動きが同じなので、そのままの絵としています。

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角と飛車が成ったらどうなるか? 左が馬、右が龍です。
「馬」や「龍」という概念をそのまま残したかったのでこのようにしました。それぞれビショップおよびルークとも関連付けるようにしています。
ビショップが聖職者なので、聖なる馬というイメージでペガサスを採用。
また、龍については、ルークの絵に出てくる塔を描き、そこにドラゴンが舞い降りるという設定にしました。

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左から、金・銀・成銀です。
さてこれらは何を意味しているでしょう? チェスには対応する駒は有りませんが、「将」が付く駒の仲間として、王将(キング)と同様に冠をモチーフとしていますが、それ以上に隠された意味があります。
カンの良い方はすぐ気づかれたかもしれません。これらは駒の動かし方を表しています。将棋において、金と銀の動き方を覚えるのが少し難しいところ。せっかく駒デザインを作るからには動き方を表現したいところです。
金は5つの角と宝石で6方向に移動、銀は3つの角と2本のリボンで5方向に移動できます。さらに成銀は、リボンが左右に開いて、宝石が追加されることで、金と同じ動きに変わることを表現しています。

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左から、桂馬・香車・歩です。
ここでもチェスの絵柄をモチーフにしつつ、細かい拘りを追加しています。
桂馬はチェスのナイトと動きが類似していることから、ナイトの絵を採用。ただし、チェスのナイトは8方向に桂馬飛びが出来るというとても強い駒です。ナイトの絵にしてしまうと、チェスプレーヤーはどうしても勘違いしてしまい、序盤から桂馬を進めてしまいがちです。そこで、馬の視界を前方向だけに限定する「ブリンカー(遮眼革)」を付けました。これにより、「前の2方向にしか進めないナイト」ということを強調しています。
香車は、ヤリという呼び方がされることから英語名でもLance(ランス)と呼ばれますので、槍をモチーフとした絵にしました。
歩は、チェスのポーンに相当しますが、ポーンの絵そのものとはしていません。ポーンの絵は頭が丸いのに対し、ここでは頭をわざと尖らせています。これはチェスのポーンの動きが将棋の歩とは異なるため。ポーンは敵の駒を取るときはナナメに取る必要があり、正面の駒は取れません。ポーンの絵のままだとチェスプレーヤーが感覚が合わなくなるため、頭を尖らせることで「ポーンとは異なり、前に向かって攻撃可能」ということを表しています。

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最後に、左から成桂・成香・と金です。
それぞれ金の動きになることを表現するため、金将と同じ冠を被らせています。桂馬のブリンカーがしっかり取り外されている点にもご注目下さい!

さて、この国際駒のコンセプトをそのままに、このようにカラフルにしたバージョンを製作したことがあります。文字はドイツ語になっていますが、盤デザインも含めてヨーロッパの雰囲気に合わせたものになっていて、ヨーロッパで将棋を広める際にいろいろな場所で使わせて頂きました。

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中日新聞様による企画で、将棋倶楽部24の久米席主との対談をさせて頂きました。12月11日に記事が出ていますので、是非ご覧ください。24と81それぞれの拘りや苦労話、共通点、今後の展望などについてたっぷりと書かれています。

【動画】『From 24 to 81』将棋対局サイト開発者対談~サービス終了の将棋俱楽部24から受け継ぐレガシー

さて、記事の中ではあまり触れられていませんが、対局の「持ち時間」ルールについても色々と話が出ました。
81道場の持ち時間は今後どうあるべきなのか。改めて考えてみる良いきっかけとなりました。
今回は、現状の持ち時間ルールについて整理してみたいと思います。
24と81のほか、スマホがメインのアプリについても調べてみました。



■ 81道場

レート戦
  • 15分 + 60秒
  • 10分 + 30秒
  •   5分 + 30秒
  •   0分 + 30秒
非レート戦 (下記を自由に組み合わせ)
  • 持ち時間: 0分 / 5分 / 10分 / 15分 / 20分 / 30分 / 40分 / 60分
  • 秒読み: 10秒 / 20秒 / 30秒 / 60秒

■ 将棋倶楽部24
  • 30分 + 60秒
  • 15分 + 60秒
  •   1分 + 30秒        「早指」
  •   0分 + 30秒 + 考慮時間1分  「早指2」
  •   5分 + 1手5秒加算      「早指3」 (フィッシャールール)

■ 将棋ウォーズ
  • 10分切れ負け
  •   3分切れ負け
  •   0分 + 10秒
  •   1分 + 30秒  (24ルールより)
さらに「友達対局」においては下記の組み合わせ
  • 持ち時間: 最大60分
  • 秒読み: 最大60秒(10秒単位)

■ 将棋クエスト
  • 10分切れ負け
  •   5分切れ負け
  •   2分切れ負け



それぞれ特徴がありますね。

スマホアプリでは短い将棋が人気のようです。
81道場の場合、切れ負けを採用しない方針がありますので、最も短いルールは「非レートの 0分 + 10秒」となります。
この「10秒将棋」を非レートではなく、何らかの専用レーティングに格上げするのは考えられるかもしれません。ニーズはどのぐらい有るでしょうか。ユーザの皆様のご意見を聞いてみたいところです。

あと、将棋倶楽部24の「早指2」で採用されている「考慮時間制」も魅力的ですね。とても合理的なルールです。
ただ、81で実装するにはシステム改修が大きくなるため、ややハードルが高いですね。またレーティングの持ち時間の種類数が増えるとマッチングしづらくなってしまいますので、選択肢をシンプルにすることとセットで検討しないといけません。

引き続き考えてみたいと思います。皆様もご意見をお寄せ下さい。


藤井聡太先生が昨日、竜王戦七番勝負を見事制して四冠となられました。史上最年少という偉業、誠におめでとうございます。

さて、去る10月17日に、藤井四冠(当時三冠)が81道場に来られて対局を行われました。
内容は、第8回国際将棋トーナメントの優勝者(台湾の選手)との記念対局です。

国際将棋トーナメントはこれまで3年に一回のペースで日本将棋連盟が海外普及のために行っているイベントですが、世界的コロナ禍の中においても海外ファンのために安全な大会を継続開催するため、今回は81道場をご活用頂き全てオンラインでの開催という新たな試みとなりました。

詳しい対局の模様は、大会公式サイト (https://isf.shogi.or.jp/news/entry-406.html)
をご覧下さい。

手合割は角落ちでしたが、下図の☗4一銀打というような好手も見られた手に汗握る接戦でした。海外選手のレベル向上の速さに観戦していたファンの皆様も驚かれたことと思います。
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棋譜はこちらから
https://system.81dojo.com/ja/kifus/6776178

81道場での対局の模様は日本将棋連盟のYouTubeライブで世界に放送され、
羽生善治九段が解説者という非常に豪華な内容でした。
その様子は下記のテレビニュースでも放映されました。

 ■ FNNプライムオンライン(東海テレビ) ― 藤井三冠が海外のアマチュア代表と記念対局
 https://www.fnn.jp/articles/-/255675

 ■ 日テレNEWS 24 ― 藤井三冠、国際大会の優勝者と記念対局
 https://www.news24.jp/articles/2021/10/17/07958236.html

イベント終了後の記者会見では、藤井先生より81道場へのお褒めの言葉も頂きました。
  • 今回対局に使用した81道場は、本当に素晴らしい対局プラットフォーム。
  • そういった環境が今までより充実してきた。
  • それを今後もより充実していけると良いと思う。
記者会見動画(該当部分へジャンプ) https://www.youtube.com/watch?v=5Awo8ddP-O8&t=996s


過分なお言葉を頂き本当に有難うございます。

コロナ禍での海外普及という難しい局面での打開策として、81道場のご活用を検討下さりイベント開催を実現して下さいました関係者の皆様に心より感謝致しますとともに、「世界に将棋を」という思いで続けてきた81道場がその使命や役割を果たせたことを嬉しく思います。



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