今回は少し面白い分析をしてみたいと思います。

5月5日より「 0分 + 30秒 + スプリット6 」(60秒考慮時間) というルールをレート対局に追加しました。

一方、レート対局の種類が多くなり過ぎないよう、これから統廃合の検討が必要です。
統廃合の検討をするにあたっては、「元のルールで実際に指せていた各指手の消費時間が、新しいルールでそっくりそのまま実現可能かどうか」という見方がひとつの重要な指標になると考えました。
どういうことかというと、例えば、
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上図は、あるユーザ様が「5分 + 30秒」の対局で実際に指された指し手ごとの時間です。さて、この1局は実は「1分 + 30秒」でも指すことが出来るのです。
↓ この通り。
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9手目に44秒の長考がありましたが、ちょうど持ち時間1分の最後を使い切ってそのまま秒読みに突入できるので実は成立しているんですね。

ではもう一例。
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こちらも、あるユーザ様の「5分 + 30秒」の対局での実際の各指し手の時間です。これはもう流石に「1分 + 30秒」では無理ですが、「0分 + 30秒 + スプリット6」だと可能になるのです。
↓ はい、この通り。
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このように、別の持ち時間ルールでも指すことが出来るのであれば、そのルールに変えてもいいというひとつの理由にはなります。

そこで今回、4月の1ヶ月間に指された、
  • 「5分 + 30秒」のレート対局 (約5万局)
  • 「10分 + 30秒」のレート対局 (約10万局)
の全てに対し、かつ先手・後手それぞれに対し、「変更後のルールでも同様に指すことが出来た人は全体の何%か」(以下、カバー率と呼びます) を全数調査で求めました。


■ 5分 + 30秒
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一番左上が元のルールで基準(当然100%)となります。それ以外は、ルール変更した場合のカバー率。
ここから分かることは、「0分 + 30秒 + スプリット6」(早指2相当)はなんとカバー率が80%もあるということ。考慮時間60秒を与えれば、「5分+30秒」の80%は吸収できるということです。これに対して、スタック5のみの追加はやや劣る印象。
「全部乗せ」の最短ルールである「1分 + スタック5 + 30秒 + スプリット6」をやると、94%までカバーできます。


■ 10分 + 30秒
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さすがに「10分 + 30秒」ともなるカバー率は苦しくなりますが、それでも「0分 + 30秒 + スプリット6」(早指2相当)は53%です。半分以上カバーできるというのもなかなか凄いですね。
スタック5の方は、「5分 + スタック5 + 30秒」のカバー率が74%というのが一つの目安。そこにさらにスプリット6を全部乗せすれば93%まで上昇します。

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今回の調査で、早指2のカバー率がいかに高いかということが浮き彫りになりました。「早指」という名称ではありますが、実はそんなに早指でもないルールなのかもしれませんね。
早指1と早指2だけ抜き出して比べてみるとこんなに違うんですよ! ↓260507-07
しかも、考慮時間10秒まとめて消費されてしまうスプリット6でこのカバー率ですから、1秒ずつ消費できる本物の早指2はさらにもう少しカバー率が高いんです。(具体的には、さらに 84%57% まで上昇します)
こうやって見ると、多くの方から早指2が好まれてきたのも納得ですね。


突然ですが、今夜からこのような企画をやらせて頂くことになりました。
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経緯として、これまでの記事で以下2点を検討致しました。
  1. 秒読みと組み合わせれば、フィッシャールールは一応可能
  2. 10秒単位で払い出せば、考慮時間制は可能
ここで思い至った疑問が、さらに両方組み合わせたらどうなるかということ。それがこのグラフ。

⑥ フィッシャー + 秒読み + 考慮時間 (全部乗せ)
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これだけ見ると、意外と優秀かもしれません。前々回のハイブリッド案の「③」や「⑤」と比べて頂きたいのですが、序盤からサクサク進めるかゆっくり指すかによって、終盤の最大長考時間が約2倍程度開きます。最低限の長考時間が保証されながらも、サクサクさすインセンティブも適度に有ります。
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というわけで、試しに81道場のMARSサーバで動かしてみることにしました。

ただ、ご指摘頂いているように、そもそもこれはフィッシャールール特有の持ち味を完全にスポイルしている(というか趣旨そのものを無視している)ことは理解しております。
5分+5秒のフィッシャールールの良さは、テンポの良いスピーディーでスリリングな対局が、手数に拘らず続けられるという魅力だと思います。81道場では最低でも1手30秒考えられるルールしかレーティング対局として認めていません。ある程度しっかり考えて指すには最低限必要な時間だと考えています。10秒将棋も採用はしておりますが、あくまでエンタメの位置づけでの別レーティングです。

フィッシャールールも、結局は最初の持ち時間が(増減はあるものの)無くなったらそこで終わりですし、残り5秒から手番がスタートする場合もあることから、本質的には「切れ負け」のカテゴリなのだと思います。(ずっと続けられる切れ負け、みたいな感じ) ですので、81道場のレーティングにフィッシャールールが単独で採用されることはないということになります。

ではなぜ今回組み合わせたかというと、「終盤の長考時間をしっかり確保できる」「序盤はサクサク進めるインセンティブがある」これらの両立を今回は議論してきており、フィッシャールールがそれに寄与する性質を持っていそうなため、その要素のみを引き出したというだけです。
従ってこの「⑥ 全部乗せ」ルールはあくまで「中終盤でしっかり考えて指せるルール」としての1案であって、エキサイティングでスリリングな将棋のためのルールではありません。

もう一点期待しているのが、現行の「5分 + 30秒」「10分 + 30秒」を、これで統合できる可能性があるという点です。レーティングルールの種類が多すぎるとマッチングしづらくなるという問題がありますので、もしひとつ減らせるなら減らしたいところ。
そこで前々回の①に加えて、持ち時間10分の場合もグラフを追加します。(右側 ①-B)
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このように、「10分+30秒」でサクサク指した場合に終盤に残される長考時間が、今回の「⑥全部乗せ」と同等水準になっています。これが「10分+30秒」を選択されるユーザ様が終盤に確保したいと思っていらっしゃる時間の長さだとすると、そのニーズは満たせていることになります。
その時間を確保するために、「10分+30秒」だと初手の持ち時間が非常に多くなっており、万が一放置された場合の被害が大きいことも気になります。
一方「5分+30秒」だと結局終盤まで残すことは難しく、「0分+30秒」と比べて得られるものが少ないようです。「5分+30秒」のメリットは、初手の持ち時間が過剰ではなく、初手から過剰にゆっくり指された場合は速やかに持ち時間が枯渇するところ。これも「⑥全部乗せ」のグラフは満たしています。

このような理由で、これら2つのニーズを同時にカバーできる可能性があると感じています。

とはいえやってみなければ分かりません。今夜からのテストで是非お試し頂ければと思います。


昨日、「1秒単位の考慮時間制」導入の最大のハードルが「音声読み上げの手法が確立されていないこと」であると述べました。

しかし、時間切れの10秒前から無理矢理数え上げれば良いのではないか? という疑問も浮上しましたので、少しパターンを整理してみました。(画像をクリックして拡大して下さい)

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一番左の①が、現在の通常の秒読みです。

それに対して②と③は、中途半端に「23秒」とか「3秒」だけ考慮時間が残っているとき。 (考慮時間突入後のタイマーを青字で区別しました)
う~~~ん・・・
結論として・・・やっぱり「無い」(笑)
いろいろ不自然すぎますね。

一方で、一番右の④が「ぴったり20秒」残っている場合です。
この場合は意外と悪くない。
つまり考慮時間の残りが10の倍数なら、いつもどおりに読めるということです。

ということは、考慮時間を10秒単位で払い出せば成り立つのではないか・・・?
  • 将棋倶楽部24の早指2の「1秒単位の考慮時間」は、読み上げが崩壊
  • テレビ対局方式の「1分単位の考慮時間」は少し長すぎて、60秒だと1回しか使えないので、皆様が求めている早指2のような刻める猶予にならない
      ↓
  • そこで間をとって「10秒単位 (合計6回) の考慮時間」なら、読み上げと早指2の良さを両立できるかも!
ちょっと光が見えてきた気がします。
昨日の今日で、結論がなんかフラフラしてますが、一度EARTHサーバ以外のサーバでテストプレイをやってみましょうかね?


前々回で取り上げた持ち時間のルールの今後について、続きです。
対局サイトごとに、様々なバリエーションの持ち時間のルールが採用されるようになってきました。そこで、それぞれのルールにおいて、1手で考えられる時間が実際にはどのように変わるのかについて、今回は比べてみます。

 [目次]
  • ① ノーマル
  • ② 考慮時間制
  • ③ ノーマル + 考慮時間制 ハイブリッド型
  • ④ フィッシャールール
  • ⑤ フィッシャールール + 秒読み ハイブリッド型 (※新提案)

① ノーマル (持ち時間 + 秒読み)

まずは81道場でも採用しているノーマルタイプ(持ち時間 + 秒読み)から。ここでは「5分+30秒」を例に見ていきます。

今回の分析の観点はこちらのグラフ。これは、
 ある一定のペースで指し進めてきた場合に、n手目の時点で、
 仮に全ての時間を使い切るとしたら最長でどれだけ長考できるか
という指標を縦軸にして、手数(n)ごとにプロットしたものです。仮に、
  • 1手平均10秒でサクサク指し進めた場合
  • 1手平均25秒でしっかり考えながら指し進めた場合
の2通りで比較しました。

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グラフの通り、このノーマルタイプはあまり合理的なルールではありません。なぜなら、基本的に終盤の大事な局面で長考する余地を残しにくいからです。せっかく持ち時間が有っても、序盤からの消費が無駄に蓄積されていくため、結局終盤まで持ち越せません。1手10秒ペースで早指ししても60手目以降の最終盤では秒読み突入ですし、1手25秒ペースだと中盤の局面ではもう秒読みになってしまいます。

② 考慮時間制

そこで、序盤・終盤に関係なく好きなタイミングでストックを消費できるという合理的な形にしたものが所謂「考慮時間制」です。これは、秒読みが切れたあとに、プールしてある持ち時間から削っていくもの。
これはテレビ対局でもお馴染みです。「1手30秒、ただし1分単位で合計10回の考慮時間があります」と言っているあれです。「1分単位」というのは1秒でも超えたら1分ずつ払い出されるという意味です。
そして、将棋倶楽部24の「早指2」も、実はこの考慮時間制の一種です。「1単位で合計60回の考慮時間があります」と等価になります。
(ちなみに早指2の1分は、当初は考慮時間を意図したものではなく、せっかくの良い将棋を操作のもたつき等で時間切れで終えてしまう例が多く勿体ないので、その救済のために設けた猶予時間という位置づけだったそうです)

では「持ち時間無し、初手から1手30秒、ただし考慮時間5分」という条件でグラフ化してみます。

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このように、1局を通じて常に一定の長考猶予をキープすることができ、とても合理的です。序中盤で長考するもよし、終盤で長考するもよし。平等な選択の余地があります。
(なお念のためですが、毎手で繰り返しこれだけの考慮ができるという意味ではありません。この最大時間を使えるのは1回だけです。どこかで1回使い切ったら以降はもちろん1手30秒ですので、誤解なきようお願いします)

さて、合理的ではあるものの、このルールには一つ問題があります。それは、序盤から1手10秒ペースだろうが25秒ペースだろうが秒読み以内ならば結果が変わらないという点。つまり、序盤などで出来るだけ早く指し進めるというインセンティブがないのです。ネット将棋なので序盤ぐらいはサクサクと指し進めたいところ。

③ 持ち時間 + 考慮時間 (ハイブリッド)

そこで、①と②をバランスさせたハイブリッド型が出てきます。テレビ対局でお馴染みなのはまさにこれ。
「持ち時間は10分。それを使い切ると1手30秒以内。ただし1分単位で合計10回の考慮時間。」というあれですね。

例えば、5分を「持ち時間3分」と「考慮時間2分」に配分するとこのようなグラフになります。

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終盤まで考慮時間を残しつつ、序盤で早く指すインセンティブもあり、両立しています。とはいえバランスの調整が難しく、ちょっと中途半端な感じもしますね。

④ フィッシャールール

ではチェスでおなじみ、将棋でも人気が出ているフィッシャールールはどうでしょうか。同様に持ち時間5分とし、1手5秒加算する場合を見てみます。

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これもとても優秀であることが分かります。1手10秒ペースならば、かなり終盤まで長考の余地を持たせることが出来ていますね。
ただ、大きな問題があります。序中盤でゆっくり指して持ち時間が枯渇すると、そこからは1手5秒で指さないといけません。(そもそも1手平均10秒・25秒という前提条件が満たせなくなっています)
これは結局、10秒将棋よりも短い「超早指し」です。1手5秒というのは、70手ほどの将棋の場合、「3分切れ負け」と同じペースになります。要するにこのルールは、終始早指しが基本思想になっていると分かります。となると、いま論点にしたい「好きな時にじっくり考えられるか?」の趣旨には合いません。

⑤ フィッシャー + 秒読み (ハイブリッド)

そこで今回の新提案がこのハイブリッド方式です。持ち時間をフィッシャールールで加算しつつも、それが切れたら そこから1手30秒の秒読みという合わせ技。

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早指しで進めれば終盤の長考余裕もしっかり確保できる一方、先に使い切っても1手30秒でしっかり指し続けられる。両方の良いとこ取りを試みました。
如何でしょうか。皆様の感想をお待ちしております。

■ 81道場への実装は?

さて現状、81道場としては②(特に1単位の考慮時間制)や④(フィッシャールールそのもの)は実装することが出来ないと考えています。理由はいくつかありますが、その一つが、81道場では「音声による秒の読み上げ」というものを大切な要素として捉えているためです。
皆様にとって耳に馴染んでいるであろう、

 「10秒~・・・20秒~、いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう」

と、10秒前から数を増やす方向で読み上げ、「じゅう」で時間切れとなる読み方。この慣習が②と④では崩れます。
「残り4秒で時間切れ」とかから新たにカウントが始まるシチュエーションが起こりうるためです。その時にどう読むのか。人の声で読み上げるなら「よん、さん、に、いち、ゼロ」で時間切れ、と途中から逆順で読むしかないでしょう。しかしそんな「読み上げ方法」は確立していないし81道場が勝手に作れません。

その点で、⑤のハイブリッドは簡単に実装が出来ます。持ち時間を1手ごとに増やせば良いだけで、あとは全て同じだからです。

また、フィッシャールールの趣旨とはズレますが、最初の持ち時間は少なめにしておいて1手ずつ持ち時間を増やすコンセプトは、序盤数手で放置されてしまった場合に待たされる被害時間を短くするという効果もあると感じており、そこにも注目しています。


今回は以上です。長文に目を通して頂き有難うございました。




81道場の駒画像選択の3番目にある「国際駒」が高解像度化されました。
盤面サイズを「大」や「特大」にした場合でも綺麗に表示されるようになりました。

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さて、この国際駒ですが、本物はこちらのサイトなどで見ることが出来ます。

 ねこまどSHOP (Yahoo!ショッピング) 国際将棋駒・桐箱入り
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せっかくですので、それぞれの駒のデザインに込められた意味などについて解説しておきたいと思います。

国際駒のデザイン方針として、チェスの絵柄を出来るだけ流用することにより、チェスプレーヤーがスムーズに将棋に馴染むことを狙っています。チェスと将棋で同じ動きをする駒は、チェスの絵をそのまま使うようにしています。しかし、将棋独特の要素をしっかり残すため、様々な細かいところに拘りを入れています。
では一つずつ見ていきましょう。

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左が王将、右が玉将です。王将はチェスのキングそのものですが、玉将は頭の飾りを宝石に変えています。王と玉が異なるという将棋の文化をしっかりと残すためです。玉は「宝玉」を意味しますので、宝石としました。

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左が角、右が飛車です。これらは、チェスのビショップおよびルークと動きが同じなので、そのままの絵としています。

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角と飛車が成ったらどうなるか? 左が馬、右が龍です。
「馬」や「龍」という概念をそのまま残したかったのでこのようにしました。それぞれビショップおよびルークとも関連付けるようにしています。
ビショップが聖職者なので、聖なる馬というイメージでペガサスを採用。
また、龍については、ルークの絵に出てくる塔を描き、そこにドラゴンが舞い降りるという設定にしました。

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左から、金・銀・成銀です。
さてこれらは何を意味しているでしょう? チェスには対応する駒は有りませんが、「将」が付く駒の仲間として、王将(キング)と同様に冠をモチーフとしていますが、それ以上に隠された意味があります。
カンの良い方はすぐ気づかれたかもしれません。これらは駒の動かし方を表しています。将棋において、金と銀の動き方を覚えるのが少し難しいところ。せっかく駒デザインを作るからには動き方を表現したいところです。
金は5つの角と宝石で6方向に移動、銀は3つの角と2本のリボンで5方向に移動できます。さらに成銀は、リボンが左右に開いて、宝石が追加されることで、金と同じ動きに変わることを表現しています。

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左から、桂馬・香車・歩です。
ここでもチェスの絵柄をモチーフにしつつ、細かい拘りを追加しています。
桂馬はチェスのナイトと動きが類似していることから、ナイトの絵を採用。ただし、チェスのナイトは8方向に桂馬飛びが出来るというとても強い駒です。ナイトの絵にしてしまうと、チェスプレーヤーはどうしても勘違いしてしまい、序盤から桂馬を進めてしまいがちです。そこで、馬の視界を前方向だけに限定する「ブリンカー(遮眼革)」を付けました。これにより、「前の2方向にしか進めないナイト」ということを強調しています。
香車は、ヤリという呼び方がされることから英語名でもLance(ランス)と呼ばれますので、槍をモチーフとした絵にしました。
歩は、チェスのポーンに相当しますが、ポーンの絵そのものとはしていません。ポーンの絵は頭が丸いのに対し、ここでは頭をわざと尖らせています。これはチェスのポーンの動きが将棋の歩とは異なるため。ポーンは敵の駒を取るときはナナメに取る必要があり、正面の駒は取れません。ポーンの絵のままだとチェスプレーヤーが感覚が合わなくなるため、頭を尖らせることで「ポーンとは異なり、前に向かって攻撃可能」ということを表しています。

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最後に、左から成桂・成香・と金です。
それぞれ金の動きになることを表現するため、金将と同じ冠を被らせています。桂馬のブリンカーがしっかり取り外されている点にもご注目下さい!

さて、この国際駒のコンセプトをそのままに、このようにカラフルにしたバージョンを製作したことがあります。文字はドイツ語になっていますが、盤デザインも含めてヨーロッパの雰囲気に合わせたものになっていて、ヨーロッパで将棋を広める際にいろいろな場所で使わせて頂きました。

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