ISCube(アイ・エス・キューブ)

10月のパネラー講演でご紹介した、海外向け情報集約サイト「ShogiHub」を先日リリースしました。今回はその内容を少しご紹介したいと思います。

shogihub

海外普及の今の課題の一つとして、情報が分散していて集約されていないこと、「ここに行けば将棋界の最新の動向が掴める」という拠り所が無いこと、です。そのため、パネラー講演でもそのような情報発信源の構築を提案しました。
しかし、すぐに提案が実現するとも限りません。そこで今年の3月から徐々に準備してきたのがこのShogiHubです。Hub(ハブ)というのは、歯車の軸とか、ネットワークの中心という意味で、まさに情報を得る際の軸として使ってもらいたいという思いで名付けました。ShogiHubでは様々な情報をまとめていますが、中でも特に重要視しているカテゴリが2つあります。

(1) プロ棋士の情報と、最新のプロの対局情報

まず、海外の将棋ファンの皆さんに、出来るだけ多くのプロ棋士の名前と顔を覚えて頂きたい、そして、棋士のファンとなり、対局を追いかけて応援して欲しい、という思いがあります。そこで、プロ棋士の情報を集約したページを作りました。

 全棋士・師弟関係図

特にこちらの師弟関係図は、日本のファンの皆さんにとっても興味深いものになっているかもしれません。孫弟子とか、従兄弟(?)関係になっている棋士とか、様々なことが一目で分かりますね。ずっと遡ってみますと、関根金次郎門下の人数の多さに驚きます。

 最新の対局情報

そしてこちらが最新の対局情報です。棋士ごとの対局履歴も見れますので、海外の方でもファンの棋士の対局をフォロー出来るようになります。

(2) 海外の将棋イベント一覧

もう一つ重要なのが、いま世界中で開催頻度が増えてきている、将棋関係の大会やイベントの一覧です。これまではイベント情報が各サイト発信になっていて、告知もFacebookやフォーラムなどでバラバラに行われていました。それではどうしても見落としが発生してしまいます。そこでそれらの情報を全てリスト化出来るものを作りました。

 将棋イベント一覧

イベント主催者は各自で情報をShogiHubに登録することが出来ます。すると、サイトのAtom Feedを購読しておけば、最新の更新情報が送られてくる仕組みです。また、過去のイベント一覧も見ることが出来るようになっていて、各イベント主催者が結果レポートのページを登録することも出来ます。このように過去のイベントの様子や成果を後からでもすぐ見られるようにしておくのは大切なことで、1年後・数年後にとても役立ってきます。

※ 今後に向けて


このようなサイトが定着し、海外への情報展開ルートが定まってくると、今後企画されるイベントなどの周知率が向上してきます。例えば、2年後にも次回の国際将棋フォーラムが開催される見込みですが、世界からの注目度がこれまでより一層高くなるよう、情報発信の仕組み作りを頑張っていきたいと思います。 


ブログを更新する時間がほとんど無く、間が空いてしまっており大変申し訳ありません。前回の続きで、局面ペディアの得失などについて早く書きたいのですが、文章をまとめる時間が取れないでいます。

今回は、最近の状況報告をさせて頂きます。

4月に、ドイツから日本へ本帰国しました。81Dojoのアカウントも久しぶりに国旗が日本になりました。最近忙しかった理由の一つは、その引っ越し関係での雑務ですが、これからは皆さんと同じ時間帯での活動となるので、いろいろやり易くなると思います。
今日も、日本にいるメリットを早速生かして、これから新宿「サザンシアター」での将棋イベント「将棋対局 ~女流棋士の知と美~」を観に行きます。

さて現在、将棋関係の開発のトピックスとしては、下記が挙げられます。

最近実施したこと

今後の予定
  • 局面ペディアの「マイノート」機能の追加 (公式のWiki解説とは別に、各ユーザが局面に関連づけて研究などをメモしたり、それをブログのように公開することが出来るようになります。)
  • 「ShogiHub」の完成とリリース
  • 81Dojoのシステムの大幅強化と、モバイル端末対応

最後のはとても大きな話なので、予定というより、やりたいなと思っている事ですね。

今後ともよろしくお願いいたします。



局面ペディアのβリリースから2週間経過しました。リリース当初は混乱もありましたが、熱心なユーザの皆さんのご協力のおかげでルールも整備されてきて、落ち着きを取り戻しました。今はまだ編集の話題がメインになっていますが、局面ペディアが本領を発揮するのは、局面について調べたい人が検索をして情報に辿り着いた時です。それが頻繁に起こるようになるには情報の蓄積が必要なので、まだ時間はかかりそうですね。とはいえ、将棋ソフト「ShogiGUI」が局面ペディアに対応されるなど、情報を取る側の使い方も、既に動きが出始めているようです。

さて、局面ペディアを開発する前から、このサイトが出来た場合の得失については当然考えていまして、考慮しないといけない心配・懸念点は存在します。これまでに頂いたコメントを見ても、やはり同じ点についての懸念は見かけられます。それについて私なりの考えを少し書いておこうと思います。

局面ペディアで気になりそうなことをいくつか挙げると、
  1. 棋書や一般の研究サイトなどの需要(や売上)が低下しないか
  2. 簡単に何でも調べられるようになり、自分で考えるという将棋の大切な心が失われないか
  3. 新手が出て結論が変わった時に、古い誤った記述が多数残ってしまわないか
などでしょう。今回は1番について書いてみます。

結論から言うと、これについては大丈夫だと思っていて、一概に棋書や研究サイトの需要が低下するとは思っていません。

将棋は、時間軸に並んだ局面の配列(棋譜など)として認識される場合がほとんどです。これに対して局面ペディアは、それと直交するもう一つの「局面軸」という軸で情報にアクセスします。(念のため図示すると下のようになります。以下X軸・Y軸と呼びましょう。)
xandy
それぞれの軸には、それぞれ適したシステムがあるべきで、万能なシステムというのはなかなかありません。どれかの軸に最適化すれば、他の軸でのアクセスは不便になります。そして、棋書や研究サイトの記述とは、主にX軸を辿りながら書かれるものです。つまり局面ペディアとは相互補完関係にあります。

将棋界にはたくさんの優れたX軸コンテンツが存在します。しかし、これまでの問題は、自分が今一番必要としているX軸を探し出すのが大変ということでした。そして、将棋について何か調べたい時、本来はY軸からアクセスした方が欲しい情報が見つけやすい場合が多いのです。局面ペディアの役割は、Y軸での情報検索をを提供することであり、何手目に出現したか・どの前局面から合流したか・どの対局で出現したかに関係なく、同じ局面は一つとして取り扱います。ここで大事なのは、出来るだけ短時間で、その局面に関する「概要」と、そこから本当に欲しい情報に飛ぶための「次のアクセスルート」、という全体像を把握してもらうこと。そのため、網は広い方がよく、重複した情報が別の局面に書かれることも厭いません。

さてここからが重要で、Y軸経由で概要を掴んだ読者は、必ずそこからX軸に動きたくなります。(次のアクセスルートとはX軸のことです) しかし、局面ペディアそのものはX軸でアクセスするには不便に出来ています。これはそうあるべきだからそうなっていて、別の軸に対しては不便であって然るべきなのです。局面を動かすたびにDBを読み込むのでカチカチと連続してクリックもできませんし、局面を進めても重複した記述が再び出てくることもあります。(これはこれで、何度も復習しながら進められて良い面もありますが。) 順を追って流れを理解していくのには向いていないのです。
そこで、局面ペディアからは、棋書へのリンク(その局面が載っているページ情報まであります)や、解説の脚注として他サイトへのリンクなどがあります。 目的の局面に関して記述されたサイトをGoogleから自力で探すのは大変ですが、局面ペディア経由ならすぐ見つかるわけです。実はこの仕組みにより、需要を減らすどころか、むしろ既存のX軸コンテンツの需要やアクセス機会を増やすように考えています。

ある戦法について調べたい、と思うだけでは、なかなか棋書を買って読んでみるところまではいきません。 それは、自分が欲しい情報が載っているかどうかが分からないし、その戦法への理解が全く無い段階では、そもそもどれぐらい自分がその戦法のことを知りたいかどうかにも、自分で自信が持てないからです。しかし、局面ペディアによって「概要が分かるレベル」までは速やかに引き上げられることで、どうやら自分はこの棋書を読んでみて良さそうだ、どうやら自分はこの研究サイトに書かれていることをじっくり読んでみるべきだ、という指針が与えられ背中を押してもらうことが出来ます。実際、局面ペディアからAmazonへのリンクは既に何度もクリックされています。

局面ペディアが手本としているWikipediaでも同じことが言えると思います。何かについて調べたいとき、Wikipediaで概要を素早くつかみ、そこから書籍などの専門的情報へのアクセスを開始する場合も多いと思います。買わなくて済んだ、という場合も確かにありますが、逆にWikipediaで概要を掴めなかったら、本を買ってまで調べる気にならなかった、という場合もあります。
従って、本当に棋書の需要・売上の低下につながるのか、逆に購入機会の増加につながるかは、今後の局面ペディアの成長の仕方や、将棋界の皆さんの使い方次第であって、今は一概には言えないと思っています。それが後者になるように、これからもサイト造りを頑張っていきたいと思います。


今回、まずは81Dojoでのイベント告知をさせて頂きます。
  • 1月17日(土) 19:00より、日光支部 vs シンガポール支部による交流戦が予定されています。特別ゲストもいらっしゃいます。是非観戦にいらして下さい。
  • 1月24日(土) 19:00より、西尾明六段による指導対局会が予定されています。年末キャンペーンでの当選者様2名が駒落ちで指導を受けます。こちらも是非観戦にいらして下さい。
局面ペディアの方は、色々と私の不手際が多く皆様にご迷惑をおかけしておりますが、皆様のご協力により着実に内容が充実しつつあります。本当に有難うございます。

局面ペディアの話は次回にまわし、今回は局面画像認識アプリの仕様について考えてみたので、その話をします。というのも、今日たまたまこちらの記事を見掛けました。
技術の進歩は凄いですね。こういう世の中ですから、局面だって携帯ですぐ読み取れるようになると良いですよね。さて、もし局面を撮るアプリがあったとしたら、こんな仕様が良い落としどころじゃないかというのを考えてみましたので、下の図に表してみます。
ocr01
ocr02
ocr03
 ポイントは
  • 持駒は盤とまとめて一気に撮らず、別々にする (その方が認識精度が上げやすそう)
  • 持駒は撮るのもいいけど、むしろ手入力でもいい (その方が操作が速そう)
  • 手合割を設定するので後手(上手)の持駒入力は不要 (ただし、後手も入力した方が精度UPにはなりそう)
  • 将棋のルールを考慮することでの精度UPは考えられそう (二歩は発生しない、盤上に双方の玉が1つずつある、飛車は三枚もない、等) 
といったところで、これぐらいの操作手順ならあまり面倒でなく、精度も上げやすそうで良いのではないでしょうか。
なお、これは本物の盤駒を撮る場合の話で、本などの図面を撮る場合はフォーマットがきっちりしてますから、一発で全体を撮れば良いかもしれません。利用頻度としては、やはり図面を撮ることの方が多いですかね。その場合は下のようなイメージになるでしょうか。名刺取り込みアプリに似ていますね。
ocr4
私はこういった分野は全く素人で知識はありませんので、これを見たどこかの方がピンと来てこの手のものを世に出してくれたら、将棋界としてはとても嬉しいですね。 

是非皆さんも少し考えてみて頂けたら嬉しいです。


※サンプル画像内の写真はインターネット上より採取させて頂きました 


以前より予告しておりました新サイト「局面ペディア」を先週βリリースさせて頂きました。皆様には早速サイトを活用して頂き本当に有難うございます。リリース後5日間で10万ビューを突破致しました。

さて今回は、局面ペディアについて語る前に、 サイトの開発体制や、後続のプロジェクトについて、ざっとご紹介するだけにしたいと思います。

■ 局面ペディア
kyokumenpedia
今回βリリースしたサイト(http://kyokumen.jp)になります。局面を軸にして皆のナレッジを集約するデータベースです。語り出すと長くなるので、また次回にします。

■ ISCube (アイ・エス・キューブ)
iscube
Innovative Shogi Information System Initiation Scheme (革新的将棋情報システム創生プロジェクト)

「局面ペディア」を開発するにあたり、多数の方々が支援・監督して下さいました。そして、このワーキンググループの枠組みを「アイ・エス・キューブ」と名付けて開発を進めて来ました。(頭文字がI・S・I・S・I・Sとなるため)

局面ペディアは、ISCubeのプロジェクトの一つにすぎません。(といっても、今それしか無いのですが) 局面ペディアはクローズドな状態で開発をしてきましたが、今後はもう少しISCubeの枠組みをオープンに広げ、「色んな人がアイデアを出し合い、そこに技術者も集まりディスカッションして、新しい物があちこちで生まれる」、そんな人の繋がりを生むための皆さんの「旗印」として扱ってもらえたら嬉しいな、と思っています。

「ShogiHub」コンセプト
shogihub
ISCubeの次の大きなプロジェクトとして、「ShogiHub」構想を今膨らませています。要は、海外を意識した超大型のポータルサイトで、文字通りハブとして情報の中心に位置し、そこから各地・各分野の情報へのアクセスルートを提供する存在です。日本の将棋界や各国の将棋事情の最新情報を、世界中に便利に届けられるシステムを目指そうとしています。これは非常に重要なことで、こういった世界向けの情報発信が海外ファンから強く求められていて、そのニーズは飽和状態。さらに将棋を爆発的に世界に広めるためにこれから絶対に必要になることです。
とはいえ、まだ私の中で練ってきた構想をこうやって皆さんや海外ファンにご紹介しているだけの段階。プロジェクト実行チームもまだありませんし、そもそもこのハブの下位に、個別の小プロジェクトがたくさん発生するイメージになると思います。局面ペディアみたいな規模のプロジェクトが、上のロゴ(仮)のコンパスの絵の周りに並んで繋がるイメージでしょうか。

その他
他には、「盤面を携帯で写真に撮ったら、局面を自動認識して局面ペディアに飛ばすアプリ」とか、アイデアは尽きません。
ISCubeは局面ペディア開発の呼び掛けのため急遽非公式に立ち上げたものですが、その形態はまだ定まっていません。アメーバのようにプロジェクトによって姿・形態を変えてもいいと思っています。どんなネタでもアイデアでも構いません。「こんなことやりませんか?」みたいなアイデアがあったら、どんどん繋がりましょう!

最後に、YouTubeで局面ペディアやISCubeについて話をした動画を貼って終わりにします。次回は個別プロジェクトについてもう少し詳しく書いてみたいと思います。

<日本語>
 

<英語>



現在、81Dojoのスタッフが中心となり呼び掛けを行ったプロジェクトチームにおいて、新しい将棋サイトを準備中です。といっても、対局サイトなどではなく、皆さんの将棋の知識・技術を大幅に高め合うための研究サイトのようなものです。詳しくはまだご紹介できませんが、システムとしては画期的なものになると思います。
リリースは来年を予定しています。 定跡に詳しい方、研究が好きな方は、是非積極的にご利用頂ければと思いますので、楽しみにしていて下さい。
また、これまで長らく81Dojoをお使い頂き、お世話になったユーザの皆様へは、感謝の気持ちをこめて、リリース前の先行登録や上級クラス登録を年明け以降にご案内させて頂きたいと思っています。


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